木工、箱づくりの技、様々な接合方法
木工において、箱物は最も基本的な作品の1つであり、その用途は収納から装飾まで多岐に渡ります。 そして、箱作りを支えるのが、様々な接合技法=「組手」です。
今回は、木工における箱やフレームの製作で、必ず発生する「組手」の技法にフォーカスしてみました。
あなたの木製品選びのお役立てていただければ幸いです。
1芋接ぎ
最も単純な接合方法です。接合する部材を縦横とした場合、縦の長さ=外形寸法、横の長さ=外形寸法ー縦部材の厚み、でカットするだけで、部材のロスがありません。ただ、接着剤のみでで固めることはほぼ困難なので、ビスや釘などが必要になってしまいます。
特徴
- 簡便さ: 加工が非常に簡単で、特別な技術や道具を必要としません。
- 低強度: 接合面積が小さいため、強度が低く、大きな力に耐えられません。
用途・作例
ビスや釘などを使っても良い場合、
あるいは、強度が必要とされない、以下のような部分に用いられることが多いです
- 枠組みの裏側など、見えない部分の接合
- 軽い荷重しかかからない部分の接合
- DIY
芋接ぎの発展系
ダボやビスケットジョイントなどの雇いサネ(間接的な部材)を用いる
接着剤が硬化するまで形状を保持するとともに、間接的ではありますが、相互の接着面積が増えるので補強になります。
(あられ組)(フィンガージョイント)
それぞれの接合端部を凹凸に加工し、組み合わせる方法です。英語では "finger joint" と呼ばれ、その名の通り、指を組み合わせたような形状をしています。
凹凸の数が増えれば増えるほどに接着面積が格段に増すので、強度が増します。一見、加工が複雑に見えますが、治具や用いたり加工方法の工夫で、簡単にできるので、量産に向きます。
特徴
- 高い強度: 接合面積が大きいため、接着剤だけで強力に接合できます。
- 美しい仕上がり: 接合面が複雑な形状をしているため、デザインのアクセントにもなります。さ: 加工が非常に簡単で、特別な技術や道具を必要としません。
用途・作例
- 升、道具箱
- 強度、耐久性を求められる箇所の接合
組み接ぎの発展系
蟻組み接ぎ
組み付ける形を台形(アリ形)にして、片側から差し込む様に組む方法です。台形状なので、一方向からの力に対し物理的な耐力があります。なので、引き出しなど、力が一定方向にかかる様な箱には適しています。
留接ぎ
接合する端部を接合角度の1/2(直角の場合は45°)に切り落として接合する方法です。木口(木の断面)が見えない(隠す)ので綺麗にスッキリします。また同じ条件(左右対象)で加工するので面取りや斜めになった材料を接合するのに向きます。
特徴
- 木材の断面を隠せるため、見た目が綺麗。
- それぞれの材料を、同条件で加工できる
用途・作例
- 化粧箱、重箱
- 額縁
留接ぎの発展系
挽込み留め接ぎ
留接ぎを補強する為に、接合部に薄板を挟み込むことで接着面を増すと共に、アクセントとして 見た目の美しさも魅力です。
留形隠蟻組み接ぎ
留接ぎと蟻組みを組み合わせた方法です。完成後の外見は留接ぎと同じですが、内部が蟻組みになっているので、接着面も増し、横方向から差し込まれているので簡単にはこわれません。加工の難易度が高く、最高級の接合方法と言えます。
まとめ
以上、今回は木工での箱の製法として、端部の接合方法に限定して説明しました。日本の伝統的な木工及び木造建築では、こうした材料同士の接合の方法を「仕口」と呼び、様々なケースに適した加工を施すことで、強度や耐久性を高め、美しい仕上がりを実現しています。
木製品をご購入の際のお役になれば幸いです。