自然塗料と合成樹脂塗料の違い - 木製品塗装の選び方

木製品に塗装をする際、塗料選びは重要なポイントです。塗料によって仕上がりの風合いや耐久性、そして環境への影響も大きく変わります。今回は、木製品塗装でよく使われる「自然塗料」と「合成樹脂塗料」の違いについて詳しく解説し、どちらを選ぶべきかの参考情報をご紹介します。

自然塗料とは

オイル仕上げに代表される自然塗料は、植物油(亜麻仁油、桐油など)や蜜蝋、天然樹脂などを主成分とした塗料です。

長所
  • 環境に優しい: VOC(揮発性有機化合物)が少なく、人体や環境への負荷が低い。
  • 木の呼吸を妨げない: 木材の調湿作用を活かし、木の呼吸を妨げないため、腐食や割れを防ぐ。
  • 自然な仕上がり: 木材本来の質感を活かした、温かみのある仕上がりになる。
  •  塗り直しが比較的簡単。
短所
  • 価格が高い: 一般的に合成樹脂塗料よりも高価。
  • 乾燥に時間がかかる: 合成樹脂塗料に比べて乾燥時間が長い。
  • 耐久性が低い: 合成樹脂塗料に比べて耐候性、耐水性、耐摩耗性が低い。

合成樹脂塗料とは

ウレタン塗装に代表される合成樹脂塗料は、石油由来の合成樹脂を主成分とした塗料です。

長所
  • 耐久性が高い: 耐候性、耐水性、耐摩耗性に優れている。
  •  価格が安い: 自然塗料に比べて安価。
  •  乾燥が速い: 自然塗料に比べて乾燥時間が短い。
  • 色やツヤのバリエーションが豊富: 様々な色やツヤの仕上がりを選べる。
短所
  • 環境への負荷: VOC(揮発性有機化合物)が多く、人体や環境への負荷が高い。
  • 木の呼吸を妨げる: 木材の調湿作用を妨げ、腐食や割れの原因となる場合がある。
  • 人工的な仕上がり: 木材本来の質感を覆い隠してしまう。

仕上がった風合いの違い」

  • 自然塗料: 木材本来の風合いを活かした、自然で温かみのある仕上がり。
  •  合成樹脂塗料: 均一で光沢のある、人工的な仕上がり。

消費者の立場でどちらの塗料を選ぶべきか

塗料選びは、用途や目的、そして価値観によって異なります。

  • 環境や健康を重視するなら自然塗料: 特に、小さなお子さんやペットがいる家庭では、自然塗料がおすすめです。
  • 耐久性を重視するなら合成樹脂塗料: 屋外で使用する木製品や、頻繁に使用する家具などには、耐久性の高い合成樹脂塗料が適しています。
  • 仕上がりの風合いを重視するなら: 自然な風合いを求めるなら自然塗料、均一で光沢のある仕上がりを求めるなら合成樹脂塗料を選びましょう。
  • コストを重視するなら: 合成樹脂塗料の方が安価です。

経年変化、「劣化」と「味わい」の違い

以上見てきた様に、ウレタン塗装に代表される合成樹脂塗料とオイル仕上げの様な自然塗料には
耐久性などの機能的側面と、質感などの自然な味わいにおいて、反比例の相関関係にあります。

子供ころ学校で使う下敷きとして、透明プラスチックにお気に入りの写真なんかを挟んだハードケースを使った事はありますか?
あれって、最初の頃は綺麗なのですが、使っていく内に傷がついたり折れ曲がったり、特に折れ曲がったところは白く濁りますよね、
あれがウレタン塗装で仕上げた製品の劣化の正体です。
木の組織に含浸して硬化するウレタン塗装は、木をプラスチックに変えてしまうので、時間の経過と共に傷や打痕がノイズとして劣化と感じるのではないでしょうか。
一方で自然塗料は、そこまで木を変えてしまう効果はないので、簡単に傷や凹みができてしまいますが、濁ったり、不自然な光の反射はありません。

つまり
自然塗料⇄経年変化を味わいとしてポジティブに捉える
合成樹脂塗料⇄経年変化を劣化としてネガティブに捉える

と言う側面もあるのではないでしょうか。
自然塗料と合成樹脂塗料は、それぞれに長所と短所があります。
木製品を購入する場合は、その用途や目的によって適した品物を選びたいものです。
この記事が、その参考になれば幸いです。

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