業界の悪しき風習にはまってしまった僕と、その後数年を経てようやく作品になったお話
僕の家からほど近い場所にある工務店、そこでは毎年1月にイベントが開催されます。
その催し物の一つに「掘り出し市」と言うのがありまして、多分前年分の工事の端材や在庫品なんかをずらりと並べて安価に提供してくれるのです。
毎年、タイルやフローリングの余りとかが出ます。たまに造作の余りなのか、無垢材も出たりするので一応チェックに行きます。
その年、ウォールナットとおぼしき厚み60ミリ長さ幅とも40センチ位の片側耳付き(縁の部分の事)の無垢材が2点、¥500/1点で販売されていました。
耳から5センチ位は当然シラタになりますがあとはまあまあの良木です。
おそらくちょっとしたカウンターかベンチにつかわれたのでしょう。
(しめしめ、今年も来た甲斐があったぜ!)と、僕は内心ほくそ笑みながらも
そこは、あくまで素人を装って、
「これ、なんと言う木ですか」と、近くにいた営業マンらしき方に尋ねました。
「ウォールナットです!」
「ですよね。これ買います!」と千円札を渡して、早々に車に運びました。
半端なサイズとは言え、相場の1/3以下だと思います。
小物を作っている僕にとっては良い買い物になりました。。。
それから数ヶ月後の事です。
販売サイトのminneから
出品しているウォールナットのカフェトレイの特注サイズの依頼がありました。
手持ちの材料は30センチ未満なので、普段作っているのもカフェサイズなのですが、この時はそれを超えるサイズのご依頼でした。
そうだ、お正月に買った無垢材が有ったわ!
と、御依頼を請け、翌日、作業場の奥から例の無垢材を出して来て早々に板材に切り出します。
(えっ、なんか固い!) テーブルソーが悲鳴を上げます。
6センチの厚みがあるとは言え、無理な厚みでは無いはずです。
それに、切り口がやや紫がかっています。
ウォールナットは経年変化で灼けると紫がかったりしますが、切り口から紫と言うのは不自然です。
しかも、1センチの厚みに落としても尚 重たい。
ウォールナットと言うには違和感があります。
そこで、作業を止めて、ネットで調べてみました。
出てきました。。。
アジアンウォールナット!?
ウォールナット(正式にはブラックウォールナット)は北米産でアジアには無いはずです。
どうやら、正式にはインドから東南アジアにかけて産出されるロックファーと呼ばれるマメ科の木らしいのです。
木目や色調がブラックウォールナットに似ているので、高価なウォールナットの代変え品として「アジアンウォールナット」の名で無垢フローリングとして販売されているみたいです。
実はこう言う行為は古くからあって
ベイヒ(アメリカ産の檜)、ベイツガ(アメリカ産の栂)、ベイマツ(アメリカ産の松)などは、
国産材が高騰し安価となった外材に付けられた名前です。
まあ、この辺りは、産地(成育環境)は異なるものの、学術的には同種、或いは近似種なのでですが
さすがに、クルミ科のブラックウォールナットとマメ科のロックファーを
いかにも産地違いの様に販売するのはチョットどうかと思います。(2019年当時)
*2022年10月現在ではアジアンウォールナットの正体を明かしているサイトが殆どとなりました。
そんな訳で、この重くてどうしようも無く固い材料は、一旦工房の片隅に消えたのでした。
あれから数年、今年の6月
何気に母の日ギフト用に、以前作った試験管一輪挿しを再販しようかなって考えていたときに、
はたと、思い起こす物があったのです。
それが、あの重たくてやたらと固いロックファー
固いのはともかく、重さがあるので
試験管一輪挿しだけじゃ無く、ハーバリウムスタンドにもなるんじゃ無いかって
どうせなら、少し遊び心も込めて、、、
で、出来たのが
タイタニック号をモチーフにしたハーバリウムスタンド
あまりに硬くて加工に手間取り
今年の母の日には間に合わなかったけど
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